TJY WSR2001 参戦日記

Part5 大会2日目-後編
Aug 4 2001

バッテリー残量を補正したことで、当面のバッテリー残量の心配はなくなった。このままの日射で12周走っても、残量は2割ほど残すことができる。天気予報とひまわり画像で見る限り、明日の日射はかなり期待できそうである。ガメラは12周ペースに若干スピードを速めたたため、同一ペースだったキラキラを引き離すこともできた。今日の所は、トラブルを出さずに残り5周を確実に周回すればよい。

そんなピットの前を、ディフェンディング・チャンピオンのOSUがトラックに搬送されて通りすぎる。原因は不明だが、まさかの搬送でOSUが玉川学園の ホワイトドルフィン とのトップ争いから脱落してしまったことは確かだった。


一方、赤い弟・東海大学Solspirits の Trysol は今日も快調走行。周回数こそ違えど、ガメラのあとを同じペースでピッタリつけてくる着実な作戦をとっている。安定したその走りは、出場3年目にしてその完成度が着実に上がっていることを示している。

14時32分、池上さんがピットに戻り、海ちゃんに残りの4周を託す。ピット作業の時間はますます縮まり、1分30秒を切る。ここまできてネックになったのが、堺さんが担当している計測システムのメモリ交換作業だ。メモリカード自体は交換する必要はないのだが、ピット作業にもっと時間がかかっていた頃、レース中に詳細データを検討できるようにと始めたのだが、その作業が一番時間がかかるようになってしまった。もっとも、この詳細データのおかげで、トラッカーが停止していることを発見したりしているので、あながち無視することはできない。

 

池上パパ、今日の一仕事終えて・・・
「う~ん、うまい!!」

 

順調に順位を上げる青山学院がガメラをオーバーテイク。その向こう側からはトラブルから復帰したOSUが遅れを取り戻すべく、猛然とスピードを上げてくる。


写真をクリックすると動画でご覧いただけます。
(MPEG-4, 106kbytes)

そうこうしているうちに、早くも海ちゃんが1周を終えてピット前に姿を現す。あと2周、現在時刻は15時15分。16時までに次の周回に入らなければならないのでこの周回は45分で走らなければならない。ギリギリではあるものの、今までのラップを考えれば何とかなるだろう。気になるバッテリーだが、ガメラの走行の様子を見てもまだまだ問題ないようである。

データを伝えてもらったところ、消費が今までより多くなっているのが気にかかる。先ほどより強くなってきた西風のせいだろうか、それとも運転のせいか・・・。池上さんがバッテリー残量キープで走ってくれたため、ほとんど問題にはならないのだが。

そして15時56分、ピットロード閉鎖4分前。コースの向こうから次々とソーラーカーが姿を現す。まず、三菱マテリアル・サンチャレンジャー。そして、TJYのWSC遠征メンバー・高橋君が創設した千歳科学技術大学の CIST Photon、それに続いて姿を現したガメラはあっという間にコントロールラインを通過して最終ラップへ突入した。

続いてやってきたチーム潟郎・キラキラファイターは16時数秒前にラインを通過したが、次の周回には入らずそのままレース終了。バッテリーがなかったのだろうか。これでガメラが12周目を無事に周回すれば、キラキラとは2周差が確定するので一安心である。


写真をクリックすると動画でご覧いただけます。
(MPEG-4, 136kbytes)

キラキラの直後、猛然とコントロールラインに突っ込んでくる黒い車体、OSU。しかし、10秒ほどの差で間に合わず、痛恨の周回に。コースの距離が長いWSRでは、1周の差が決定的となってしまう。そのため、実力の拮抗したマシン同士で1周差がつくとまず逆転することは不可能。勝つためには、死にものぐるいで食らいついてくしかない。WSRでは、たった数秒の差で運命が分かれるこの時間帯に、毎年多くのドラマが生まれる。

ガメラは、最終周も無事に走り終えてコントロールライン通過。2日目のレースも無事に終了した。この時点で総合9位、もはや上にいるのはフリークラスのマシンばかり。2日目にして目標はほぼ達成である。あとはこの順位を落とさないように気をつけていくだけである。

(図)Day2-レース終了後のバッテリー残量
(図)Day2-(だいぶマシになった)発電グラフ

レース終了後のバッテリー残量は20%。結局消費のほとんどは風が強く、ペースを上げた最後の3周に集中してしまった。また、発電グラフを調べると今度はトラッカーが停止した形跡はない。電源をメインバッテリーからとるようにしたのが功を奏したようだ。あとは、明日の朝、曇らなければよいのだが・・・。

ところで、この夕方、驚愕の新事実が発覚した。もともと、ガメラの太陽電池はWSC仕様で520W搭載されているのだが、WSRのレギュレーションにあわせるため、40W分の太陽電池は配線を切断した上、表面をステッカーで覆ってある。今年、レースに出る前にステッカーを張り直したのだが、その位置を誤ってしまい、よけいに太陽電池の出力を落としてしまっていたのだ。どおりで出力がいまいち出なかったわけである。

指示を出した池上さん、大反省・・・

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