TJY WSR2002 参戦日記

Part2 ガメラ、爆走 (大会初日)
Aug 02 2002

2002年8月2日 8:55 - 大会初日スタート直前


タートゲートをこんなに間近にしたスタートははじめてだ。昨日の予選が予想以上に好成績だったおかげである。

スタートの混み合うWSRでは、スタート順が後方になってしまうと、それだけで数分のロスになってしまう。上位の争いではオーバータイム差で競うことも多いため、できるだけ前からスタートしたい。

いつもより人手は少ないが、手慣れたメンバーばかりなので、いつも通りの準備をしてガメラをグリッドに並べることができた。あとはスタートの合図を待つだけ。

早朝は曇が多かったスポーツラインも、例によってスタートを迎える頃には徐々に晴れ間が見えるようになってきた。風はほとんど無し。ソーラーカーにとってはありがたい天候だ。しかし、予報によれば明日以降は天気が崩れてくるようなので、今日どれだけバッテリーを温存するかが頭の痛い問題である。

そんなことを考えているうちに、スタートの時間がやってきた・・・





写真をクリックすると動画でご覧いただけます。
(MPEG-4, 92kbytes)

たいした準備ができなかったとはいえ、ガメラの戦力は去年から確実にアップしている。フリークラス出場に合わせて480Wから520Wに増加した発電量。1999年のWSCに出場したときの仕様に戻しただけだが、単なる重りとして乗っていたセルが電力を生み出すのだから、足かせをはずしたことになる。

さらにリチウムイオン電池を搭載したことで、バッテリー重量は今までの約半分。定格電圧が鉛バッテリーの48Vから62Vまで上昇したため、モーターの回転数を上げやすくなった。これで巡航速度アップが期待できる。

去年に引き続き搭載するミツバモータも、さらなるチューンが加えられて効率がアップしている。

この最強装備のガメラでどこまで上位に食い込めるだろうか。

いつものようにエネルギー・マネージメント用のワークシートを使って目標周回数を決める。今日の所は天候が良く、発電は期待できそうだ。13周すると、レース終了時のバッテリー残量は40%強。

問題は、明日以降の天候とぶっつけ本番のリチウムイオン電池。今回の電池は中古品なので、容量が定格からいくらか落ちているはず。しかし、放電テストすら行っていないため、容量が読めていないのだ。悩んでも仕方ないので、まずはこのペースで様子を見ることにする。




 「でっかいやつ」その1。再輝、ENAX。
 誰もが「首だけドライバー?」と思うが、ちゃんと胴体も入っている、薄型ボディ。

スタートしてから30分も立たないうちに、トップ集団がコースの向こうに姿を現す。最初に姿を現したのは薄型ボディの再輝『ENAX』、続いて玉川大学の双子ドルフィンが2台続いて通過、それを追う鈴鹿優勝の芦屋大学『Sky Ace TIGA』、東海大学『TOKAI SPIRIT 2002』、少し遅れてオーストラリアから参加のオーロラ、金沢工大GoldenEagle。ここまでがなんと29分から31分台。今までにないハイペースな展開だ。ガメラはまだ見えない。

数分するとさらに第2集団が姿を現した。三菱・サンチャレンジャー、東海大付属翔洋のFALCON、九州東海大・Nextage、チーム潟郎・キラキラファイター、そしてガメラ。ずいぶん遅れをとったように見えるが、それでもガメラのラップタイムは34分51。決して遅いわけではない。やはり、フリークラスの壁は厚いのか。

 お隣さんその1。左から玉川大学、玉川ホワイトドルフィンと、玉川ドルフィン。
 TJYでの呼び名は「白玉」と「黄玉」。
 なんだかおいしそうだけど、WSCでもその実力を示している優勝候補筆頭。
 お隣さんその2。7年目で年期が入ってきた青山大学、Agu Aglaia。
 参加しているどの学生さんよりも、車体の方がWSR経験が長いに違いない。



空はすっかり晴れ渡り、真夏の太陽が頭の上からじりじりと照りつける。太陽が真上に登る頃、若松さんが5周を走り終えて、海ちゃんにバトンタッチ。ここまでで順位は8位。上にいるのはフリークラスの常連チームばかりだ。とはいえ、この5周のラップタイムは33分前後を叩きだしている。何年か前の大会であれば、優勝争いができてもおかしくないラップなのだが、それだけレベルが上がっているのだ。

「いや~~、恐かったぁ」

ヘルメットを脱ぐなりつぶやく若松さん。重心の高いガメラで70km/h近い巡航速度で走っているのだから無理もない。今は風が比較的弱いので大丈夫だが、風が強くなればこの速度を維持するのは少々危険だ。設計者の池上さんでさえ、当時はこんな速度で巡航するとは思っていなかっただろう。海ちゃんへの指示は引き続き68km/hでの巡航。さらに5周を走って、最後の3周を堺さんに引き継ぐ予定だ。




2002年8月2日 16:26 - 大会初日レース終了


最後のドライバー・堺さんの乗ったガメラがコントロールラインに姿を現す。無事に予定通り13周を周回することができた。順位は変わらず8位だが、その上にいるのは蒼々たるチームばかり。どこまで切り崩せることやら。しかも、ガメラと同一周回の13周組には7台ものソーラーカーがひしめいている。少しでもトラブルを起こせば一気に順位を落としてしまうということだ。

バッテリー残量もほぼ予定通り、40%弱。天候は引き続き良いので、明日に備えていくらかの充電が期待できそうだ・・・

(図)1日目終了時のバッテリー残量

大会初日ガメラの計測データ

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